施設のご案内
TCLのクリニックオフィス(H19年8月に完成しました。)
1階は相談室、2階は調剤、精密検査、研究施設となっています。現在BSLクラス2の実験室を設置中。
相談室には鳩をモチーフにしたリトグラフや油絵の作品が展示されております(ギャラリーTCL)。
奥様やご家族と来院された場合も楽しんでいただけます。
TCLの調剤・検査機器について
レース鳩は家畜や家禽ではないため、原因や起こり方が十分解明されていない病気が多く残されています。TCLでは経験豊かな鳩の診療経験、最新の学術研究論文、交流のある海外のレース鳩の疾病研究者からの情報交流を元に最適な診断技術と治療に必要な薬剤やワクチンの処方を研究してきました。
感染病の診断:
治りにくい下痢症が続く場合には、抗生物質耐性の細菌が原因となっている場合があります。その時には糞からの菌分離を行います。菌を培養するための特別の培養基(写真はサルモネラ菌培養用のDHL寒天培地)に接種をして増殖してくる菌の種類を調べます。耐性菌を調べるには増えてきた菌を均一に寒天培地で培養して、ディスク法という方法で調べることができます。これにより効果のある抗生物質を選択できます。ウイルスなどの培養は困難ですからPCR法により遺伝子診断をすることができます。
インキュベーター:孵卵器のことです。サンプルを塗った各種寒天培地を37℃に保温して菌を増殖させます。通常の細菌は一晩から数日で増殖してきてコロニーと呼ばれる塊を作ります。菌の種類によってコロニーの大きさや形は様々です。細菌の培養は調剤用途は別のクリーンフード内で実施して、コンタミネーションは起こりません。
顕微鏡:鳩の血液や病理組織標本、そしてトリコモナスやコクシジウムなどの原虫やカビ、様々な細菌の観察をします。TCLには獣医病理学専門家協会認定資格を持つ研究担当獣医師がおります。病理組織学的診断や細菌学的診断などをします。
クリーンベンチ:TCLではワクチンの処方をするための専用のクリーンベンチを有しております。薬事法では動物に必要な量以上の薬剤を処方することを禁じています。そのため、TCLでは飼育しているレース鳩の数に必要な量のワクチンを殺菌消毒済みのバイアル瓶に無菌的に分注して処方をしています。必要量のワクチンの処方は接種時の汚染を最小限にして、経済的でもあり利用者の方に喜ばれています。
オートクレーブ:内部を高温の飽和蒸気によって高温高圧にして殺菌を行う装置です。TCLでは小型の機械を使用していますがワクチンを分注するためのバイアル瓶やゴムキャップの滅菌には十分な性能です。ビンやキャップはアルミフォイルで包んだ後、ステンレス容器に入れてオートクレーブで121℃30分間の殺菌をしています。この無菌的な瓶を用いて、クリーンベンチ内で無菌ピペットで充填するので、汚染のない安全なワクチンの処方ができます。
調剤分包機:TCLではレース鳩の飼育羽数に応じた処方薬を提供するために、マニュアルで調剤し、半自動の分包装置で使うのに便利な分包薬を提供しております。そのため、診療や追加の処方を求めるときには事前の予約をしていただいております。
遠心機:コクシジウムの診断や血液細胞の分離などの検査に使用します。
実験室は感染予防の観点からお見せはしておりません。
1階の相談室に写真を用意いたします。