発症と消毒
アデノウイルスは生後6ヶ月未満の鳩が感染するウイルス感染病で、その発生時期から「若鳩病=young bird sickness」と呼ばれることもあります。このウイルスはDNA型のウイルスで1型アデノウイルスと言われるものです。通常の逆性石鹸やパコマ、アストップなどの界面活性剤系の消毒薬は効きません。塩素系の消毒薬が必要です。
詳しくはTCLにご相談ください。
しかし、この感染の防除に消毒薬は一定の効果はありますがその発生は防げるかと言うと、TCLのレース鳩飼育の経験から言うと、恐らく一旦感染して、抗体により症状が良くなった鳩がウイルスをどこかの細胞内に保有していて、それが秋レース前の訓練などのときに増殖して、未感染で抗体のできていない春生まれの当歳鳩に感染して発症をしているようです。
コンテナ消毒
コンテナなどの適切な消毒はこれまでにアデノウイルスが発生したことのない鳩舎のレース鳩に新規の感染が起こるのを防ぐ効果はあると思います。
アデノウイルス腸炎と肝炎
ベルギーなどではアデノウイルス感染という肝炎を起こして死亡するなどの重症なタイプが多く出ているようですが、日本国内では肝炎を起こして白っぽい糞をして死亡するような肝炎型は少なく殆どが胃腸炎型です。
胃炎と腸炎が起こるので嘔吐の症状が起きますが、胃と腸が機能低下すると消化しないので、そ嚢煮えさが貯まります。この症状は胃腸の炎症を軽減することで改善されます。ウイルス性の腸の免疫低下が起こるとサルモネラや病原性大腸菌などが優位に増えて、細菌性腸炎の緑便をします。これを放置すると非常に痩せて回復が困難になります。早めにご相談ください。
非特異的な冬季の発症
しかし、一昨年の秋以降1鳩舎で10~30羽くらい死亡したという発症のご相談がありました。さらに、従来は秋レースの開始時に発生していた嘔吐を特徴とする発症が冬季にも起こることが相談からわかってきました。
此の原因としては①秋のレースに全く参加しなかった鳩舎ので冬季の発症、②秋レースに参加して嘔吐の症状があったが冬に発症が起きたという鳩舎。
①では感染発症の機会のなかった鳩が抗アデノウイルス抗体を持っておらず、どこからかの鳩の交流の中での発症があったということ。
②の原因は何らかの理由で秋レースの発症時期の抗体が十分できなかった事が考えられます。ウイルス感染時には免疫抑制が起きており、そのためなのか、秋にできた感染防御抗体と異なった抗原性を持つアデノウイルス株が新たな感染を起こしたのか不明です。
早期の対策が大切です
アデノウイルス発症時には早期の対策で発症を軽減することが重要です。免疫や消化管感染に関する専門家がいるTCLではアデノウイルス発症時の診療、ご相談に応じております。おかしいなと思ったらすぐに鳩に詳しい獣医師にご相談してください。TCLには多くの治療経験がございます。