レース鳩の健康管理へのアドバイス
優れた成績は健康な鳩からしか生まれません。予防と健康な鳩作りが基本です。
予防できる病気
ワクチンで防げる病気は鳩パラミクソウイルス感染(鳩のニューカッスル病)とサルモネラ感染です。
必ず予防をして愛鳩を守りましょう。
病原体
日頃の健康管理や病気の予防をきっちりと行うことで、多くの感染病を防ぐことができます。特に鳩パラミクソウイルス感染症、サルモネラ感染症、アデノウイルス1型感染症が現在最も重要な感染症です。適切な予防を心がけてください。
Pasman et al. J Clin Microbiol. 2004 May;42(5):2000-2.
抗生物質
抗生物質は感染病の治療には必須ですが、連続的に投薬していくべきではありません。有効な薬剤と適切な濃度と投薬法を選定して十分かつ最小限に用いるべきでしょう。しかし、抗生物質の種類や病原体の種類によっては長期間の投与が必要ば場合があります。必ず獣医師の指導のもとで治療をして下さい。
Pasman et al. Antimicrob Agents Chemother. 2008 Mar; 52(3): 954–961.
Pasman et al. Infect Immun. 2003 Oct; 71(10): 6068–6074.
耐性菌出現に注意
過剰な抗生物質投与は抗生物質の効かない細菌=耐性菌の出現を高め、治療が困難な呼吸器病や下痢症が起こるようになります。一旦生じた耐性菌はレースにおいてコンテナの中で他の鳩舎に伝染し、また感染して弱った迷い鳩の迷いこみにより新たな鳩舎に広がっていきます。抗生物質の使用は必ず獣医師の指導によって下さい。
抗生物質多用の弊害は次に述べる正常細菌叢の破壊という大きなダメージの原因にもなります。
正常細菌叢
私達と同様、レース鳩の体には健康を保つ仕組みがあります。一つは免疫機構でそれに密接にリンクしている腸内の細菌です。これは正常細菌叢(ノーマルフローラ)と呼ばれて、消化管免疫、全身の免疫を守る基盤になっています。
TCLでは発足以来、健康な鳩には健康な腸内細菌叢の構築が安定した健康維持と抗病性の基本であると考え、レース鳩に適した生菌製剤の研究をしてきました。生菌剤の効果は細菌株の種類と組み合わせ、菌数が決め手と言われており、TCLでは自鳩舎の種鳩群と、レース鳩群を使用して様々な組み合わせを評価し、その後、様々な規模の鳩舎で効果の評価を行ってきて現在の処方に反映しています。